第九章 圧

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第九章 圧

ペタペタペタ 暗い廊下を歩く。 壁にもたれかかり、小さな灯りを頼りにしながら、 私は一歩一歩進んでいた。 裸足の足から、床のひんやりした感じがつたわってくる。 体のいろんなところが痛み、こわばっている。 タッタッタッ と、足音が聞こえる。 「ペロ?」 そう。これはきっとペロだ。 ペロが私を迎えに来てくれたんだ。 両手を前に伸ばすと、私の体は、バランスを崩して倒れた。 「あっ、」 「ツムギさん!?」 「看護師さん…?」 「消灯時間は過ぎてるので、勝手に部屋から出ないでください!」 ペロじゃなかった。 私は、ペタリと廊下に座り込む。 「ペロはどこにいったの…?」 看護師さんは、答えてくれなかった。 かわりに、私に肩を貸してくれて、病室まで送ってくれた。 「ペロちゃんのこと誰が言うのよ。」 「お母さんが言ってよ。私嫌だよ。」 「俺は仕事行くぞ。」 「うわ、1人だけずっる。」 「ねえ、私も無理よ。  この子がどれだけペロちゃんのこと好きだったと思ってるの?」 「知ってるから言えないんじゃん!」 「…。」 ベッドの周りをみんなが囲んで、何か話している。 気まずさで、目を開けられない。 「…ツムギ。起きてるのか。」 どうやら騙せなかったようだ。 「…起きてるけど…何?」 「…昨日、夜どこに行こうとしてたんだ。」 「……覚えてない…。」 「そんなわけないだろう。」 空気が重くなる。 「お父さんやめなよ。覚えてないって言ってるじゃん。」 お姉ちゃんが言った。 「仕事なんでしょ?早く行きなよ。  お母さんも。なんか飲み物買ってきて。」 お姉ちゃんがスマホを片手にみんなを追い出した。
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