楽しげな魔法の家とススリの今後

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楽しげな魔法の家とススリの今後

「「うわっ、美味しそう!!」」  キキ達とレオン様のお土産を見て喜び、コンロでお湯を沸かす。貰ったお土産はおはぎ、お団子の和菓子とおにぎり、お漬物。どれも、緑茶がよく合う。  キッチンで簡単な卵のお吸い物を作り、みんなが座れるように椅子とテーブルを魔法で広げて、取り皿をお皿を並べて。 「さぁ、いただきましょう!」  とテーブルに、マージアはみんなと笑顔で座った。  ❀   「君たちは、早朝からどこに行っていた?」  ここは、王都を見渡せる様に建てられたローレンス城の中にある一室。その部屋にある家具はどれも一級品、この一室の持ち主――皇太子となったビビール・ローレンスの執務室だ。  マージアの家(魔女の家)から戻った彼らは、何食わぬ顔で業務に戻ろうとした。しかし、ビビール皇太子が馬車着き馬に張らせていた、騎士に見つかり執務室へと連れられてきたのだ。 「さいきんススリと、お前達が何やらコソコソしていると思っていたが……城の馬車を勝手に使用して、こんな昼食時まで逢瀬でもしていたのか?」  焦る魔導師アッサン、近衛騎士マッケンの2人と、不貞腐れ気味のススリ。 「違います、逢瀬などしておりませんビビール皇太子! ボクはススリ様に頼まれて、城の外へ出ておりました」 「私もです、ススリ様の護衛として城を離れておりました」 「そうか? で、ススリの意見は? 君は王妃教育も体調不良と言い休んでいるくせに……出かける気力はあるのだな」  ビビール皇太子の鋭い視線がススリを見るが、ススリは不貞腐れの表情を変えず。 「うるさいわね。あなたには関係ないの。どうせ魔法の本が見つかったら……ここを出ていくつもりだし」 「はぁ、出ていく? 何を馬鹿げたことを申す。ススリは皇太子の、私の婚約者で時期王妃となるのだぞ?」  驚きを隠せないビビールに対して、フンと鼻で笑うススリ。 「えー王妃? あたし、そんな面倒なものにはならないし、頼んでもいない。ヒロインのあたしがあなたを選んだのは、あたしが次のステージに行くために必要だけだから、今違いしないで」  その、ススリの発言にビビールは頭を抱えた。    学園の最後の日。婚約者だった……公爵令嬢のマージア嬢と婚約破棄して、愛する男爵令嬢のススリを選んだ。  爵位が男爵の彼女を自分の婚約者にする為……父上、母上、各方面の貴族達に頭を下げて、ようやく認めてもらったばかり。  ――それなのに、ススリは王妃にならない? 「ススリ、君は王妃にならないのか?」 「何度も言わせないで、なるわけないじゃない」 「……そうか、わかった。ことが決まりしだい連絡をする。マッケン、アッサンその時までススリを部屋の外に出すな! これは命令だ――命令を破り、ススリを一歩でも出してみろ、お前の家がどうなっても私は知らぬ」 「か、かしこまりました……」 「かしこまりました、ビビール皇太子」  神妙な面持ちで、2人は深く頭を下げた。 「え? 外に出るなってどう言うことよ! あたしは探し物をしなくちゃならないの! マッケン、アッサン? 手を離しなさい!」  2人の抱えられる様にしてススリは部屋に戻され、扉という扉、窓にマッケンは魔法で施錠した。
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