獣人の王子、到着

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獣人の王子、到着

「「魔女様、森を通る許可をいただきたい!」」  この声は、森と私達の家をグラグラ揺れ動かす。私はボアさんに「どうする?」と目線を送ると、彼女は「いいわよ」と、親指を立てたので。  家の外に出て、森に向かって声をあげた。 「どうぞ、いらしてください。一緒に朝食を食べましょう!」  すぐに。 「ありがとう、おじゃまする」 「おじゃましますっす!」 「おじゃまいたします」  森を挟んで会話をするなんて、面白すぎる。  いまから来る、獣人の王子と従者か…… 「そうだ、彼らの分の朝食も作ろう」  ウキウキとキッチンに戻り、ボアさんとお腹を空かせたキキ達には先に食べてもらって。私はお客様用のベーコンエッグを作りながらボアさんに、昨夜、開けてしまった扉について聞いてみた。 「ねぇ、ボアさん、昨日の扉って何だったのですか?」 「あぁ、あれはね。魔女と魔法使いが使用できる"魔法の扉“だって、シシリは言っていたわ。扉の前で行きたい所を告げると、その場所に着くんですって」  魔法の扉? 「まだマージアさんの魔力が安定していないから、勝手に繋がったのね」 「そうだったんですね。いきなり知らない所に出て、黒猫さんに出会い驚きました」 「フフ、彼らは見た目ほど怖くないから安心してね」 「はい」    ベーコンエッグが焼き上がり、スープとサラダはまだあるからいいかな。カーンカーン――玄関のドアノッカーが鳴る。「はーい」と、返事を返して玄関に迎えにいった。  扉の向こうから「言うぞ」と、バリトンボイスが聞こえて「はい!」「頑張って!」と明るい声が聞こえてきた。 「お、おはようございます、魔女様。私は獣人の国の第三王子レオンともうします」 「おはようございます。僕達はレオン様の従者のスズと!」 「トッポです」  なぜか、扉越しに自己紹介をしてもらった。  私はドキドキしなが扉を開けて、着ぐるみパジャマのままでカーテシーをした。 「レオン様、スズ様、トッポ様。今度、魔女となりましたマジーアと言います。このような格好でごめんなさい」  訪れた、彼らに向けて微笑んだ。  
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