自由自在の家

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自由自在の家

 タイトル『新米魔女マージアと愉快な仲間キキ、スイ、メラの本』のタイトルがついて本。私は内容が気になりページをめくったが……キキ達の絵のほかのページは真っ白だった。 【彼女たちの名前はキキ、スイ、メラ。新米魔女マージアが付けた名前。本日から彼女達との暮らしが始まる。】  中表紙の次のページにキキ達の絵と、絵本の様な文章が書かれていた。もしかすると……ここでの暮らしが、この本に記されていくのかな? そうだったら面白い!    その本を眺める私の手を、キキ、スイ、メラが掴んだ。 「マージアちゃん、いまから家の中を案内するね」  「行きましょう、マージア様」  「マージア、いこっ!」 「うん、行こう!」  みんなは初めに家の水回り(お風呂とトイレ)から案内してくれる。トイレと猫足のバスタブのお風呂――トイレは壁についている、青い魔石に触れると水が流れる仕組みで。お風呂は赤い魔石に触れると、ちょっど良いお湯が出るみたい。 (屋敷で使っていたトイレとお風呂より、使い勝手が良さそう)   「マージアちゃん、お風呂場とトイレは終わり! 次に書庫と書斎ね!」 「はーい」  キキが開けた木製の扉は書庫と書斎だった。  木製の書斎机と革張りの1人がけのソファーを囲む様に、本棚が壁にギッシリ並んでいる。本棚に並んでいる本は魔導書、植物図鑑を初め、植物に関する本が多かった。  面白そうな本が並ぶ、いい空間だ。  だけど、この書庫と書斎……広くない?  外から見た家の大きさはそこまで、大きな家ではなかったけど、書庫と書斎は広く感じた。  まさかね、でも気になる。   「ねぇ、キキ、スイ、メラ、この書斎と書庫ってやけに広い?」  キキとメラは気付いたと手を叩き微笑み、ウンウン頷き。スイが説明してくれた。 「この書斎と書庫には空間魔法が使われていて、現に広くなっております。シシリ様の好きな空間でした……」 「魔女様の好きな空間か……私も好きかも」 「よかった……シシリ様も喜ばれます」  なんだろう? スイが説明の途中で……寂しげな表情を浮かべた様に感じた。でも、まだ出会ったばかりのみんなに、詳しく聞くことはできなかった。 「もし、マージアちゃんが気に入らない部屋があったら、自由自在に部屋を変えられるから」 「え? 部屋を私好みに変えれる?」   「うん! マージアちゃんが願えばどの部屋も変わるよ。さっき見たお風呂、トイレ、これから見る部屋だって好きに変えられるから」  もう凄すぎて、驚くばかり。  それから、案内してくれたのは。  調合室、キッチン、客間、最後に案内された寝室はモダンな天蓋付きベッドと、ここにも本棚が置かれた。 「おお、ここにも本棚があるんだ」  だけど、寝室の本棚に並んでる本のタイトルは少しわっていた。髪型の本、衣装の本、お化粧の本と、書かれていた。    
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