ふわふわホットケーキ

1/1

68人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ

ふわふわホットケーキ

 パンケーキを見るのが初めてなのか、彼女達にワクワク、キラキラな瞳で、見守られながら作りを始める。  作るのは。小麦粉と卵、蜂蜜、バター、牛乳で作る簡単パンケーキ。えっと、フワフワにするコツは卵黄と卵白を分けて。卵白をコレでもかって、泡立て器で泡立てメレンゲにする、ここが重要だ。 「マージアちゃん、わたちも手伝うよ!」 「何かありましたら、お手伝いします」 「する、する!」  彼女達は私の周りをクルクル飛び回り、可愛いことを言ってくれる。   「よーし! みんなでパンケーキを作ろう!」 「「おう!」」 「うん」  キキ、スイと一緒に卵黄、小麦粉、牛乳、溶かしたバターでタネを作って。メラと卵白を泡立て器で混ぜて、蜂蜜を加えて、混ぜて、混ぜて……まぜ……しんどい、コレはやばい……ハンドミキサーない? 「たいへん」 「ほんと、大変だ」  ぐぉぉお――――!!   気合いで混ぜて 「メレンゲの完成!」 「やった」  最初に作ったタネと、ザックリ混ぜ合わせてパンケーキのタネは完成。  パンケーキにジャムをかけるのもいいけど……アイテムボックスの中に何かないかなぁ? ゴソゴソ探ると、真っ赤なリンゴが入っていた。    これを切って、パンケーキの横に並べる?  それとも、砂糖をかけて炒める?    うーん。リンゴで何かいいレシピないかなぁ?  キッチンに一冊の本がポンと現れ、パラパラとページがめくれて、リンゴ煮のページで止まった。リンゴ煮かぁ、いいけど、それを作るのに使うレモンがあったかな?  ゴソゴソ。  お、アイテムボックスの中にあった!  リンゴ煮はそのまま食べても美味しいし、ヨーグルトに浮かべてもいい。リンゴ煮で決定! まな板と包丁を水で洗いリンゴを切って蜂蜜とレモン汁、水をお鍋に入れて。赤い魔石に触れコンロに火をつけ、どうにか魔石を触り、弱火にした。 (ふぅ、魔石コンロの操作難しい)  ふわふわなパンケーキを焼くため、フライパンにバターを溶かして、パンケーキのタネを流してフツフツしたらひっくり返す。  おお! メレンゲと混ぜたから、ふわふわなパンケーキ! 「うわぁ、いい香り」 「美味しい香りです」 「うまい、……じゅるっ」  そろそろ、リンゴ煮の方ができるかな?  弱火にかけた、鍋を除いた。 「おお、出来た! みんななぁ、リンゴ煮の味見する?」 「「する!」」 「たべる」  小さくスプーンに乗せると、パクッと食べるとみんなの頬が緩む、美味しい表情!  やっぱり料理って楽しい。  このキッチンも使いやすい。    お皿にふわふわに焼けたパンケーキを乗せて、リンゴ煮を添えた。 「よし、完成! キキ、スイ、メラ、さあ食べよう!」 「やったぁ!」 「楽しみです」 「お腹すいたぁ!」  キッチンのテーブルに焼き上がったパンケーキのリンゴに添えを置いた。     「「いただきまーす」」  みんなで声を合わせフォークを握った。そのとき――どこからか「まあ、美味しそうな甘い香り。みんなぁ~私も混ぜてぇ」可憐な女性の声が外から聞こえて、魔法陣と共に緑の葉が庭に舞った。 「なっ、なに?」 「ひよぇ!」 「きゃっ!」 「およ?」  キキ、スイ、メラはそれをみて、庭が見える窓まで飛んでいく。私もその後を追って窓を覗いた。庭に突如出来た魔法陣が消えると、そこに私より薄いグリーン色の長い髪、同じ色の瞳、薄地のドレスを着た女性が現れた。 (綺麗な人……)  驚く私達をよそに、その女性は窓にいる私達に手を振り。 「初めまして、エルフのボアで~す。貴方が新しく魔女様になった人よね〜よろしく!」  満面な笑みを浮かべて挨拶して、玄関から「おじゃまします」と、入ってくる。 「こんにちは」 「こんにちは、はじめまして――新しく、ま、魔女になりましたマジーアです。ボアさん、よろしくお願いします」 (この人、色白で足長っ! モデル並みにスラっとして綺麗な人だ……) 「マージアさんよろしく〜! それで、みんなは新しい名前を、もらえたかなぁ?」 「はい、先生。わたちの名前はキキです」 「ボア先生、私はスイです」 「メラだよ」 「キキ、スイ、メラですか、とても良い名前をもらえましたね。青空学校のお昼寝中に『魔女様に呼ばれたから行くね』って消えちゃうから、びっくりしたわ」 「わたちも、びっくりした」   「いきなり体がピカッて光って、気付いたらマジーア様の所にいたんです」   「そうそう」  キャッ、キャウフフと話しだす可愛い精霊と、綺麗なエルフさん。  私はそれを眺めて、ファンタジーって最高と。  婚約破棄して良かったと、ニンマリした。  
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

68人が本棚に入れています
本棚に追加