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「うわわわわ!」
慌てて卵から距離を取る。
それと同時に、てっぺんまでヒビが辿り着いたその卵の殻が、辺りに弾け飛んだ。
「きゃぁ! うわぁ! ちょっ、まっ!」
卵の中から、大量の卵が飛び出してきた。
イースター用にデコられた卵たちが溢れて来る。
大きさはスーパーで売っている通常の、鶏の卵サイズだ。
カラフルな卵たちが私に向かって雪崩れて来た。
私は卵の雪崩に巻き込まれないように、来た道を走る。
全力で走る。
必死だからか、不思議と息切れはない。
後ろを振り返る。
「うわぁぁぁ!」
ダメだ! 間に合わない!
ーーーーーーーーーーピピピピピピピピピ!
「うわぁ!」
ドスンッ!
驚きのあまり、ベッドから落ちた。
なんか、変な夢見た。
カラフルな卵に押しつぶされるみたいな夢……。
ーーピピピピピピピピッ
バシッ!
まだ鳴り続けていた目覚まし時計を、半ば叩くようにして止めた。
その時計の隣には、昨日雑貨屋で気に入って買った、緑の卵に、白く細かい模様が描かれているチャームストラップが転がっていた。
了
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