シュレーディンガーの卵

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「…とまぁ、これは俺の持論だがな。そろそろ俺は帰るよ。お前も仕事だろ?」 ようやく話し終えた友人は、席を立ち軽く背伸びをして帰って行った。帰り際、「もしかしたら玄関のドアを開けてら別世界につながってたりしてな!お前の卵の件もあるし!」なんて笑っていた。本当に呑気な奴だ。縁起でもないこと平気で楽しそうに言いやがる。私も着替えて仕事に行く準備を整える。 「よし、行くか」 玄関のドアノブに手を掛けた時、ふと不安になった。このドアを開けた先は、本当に普段私が見ていた世界が広がっているのだろうか。そもそも普段とは、常識とは、真実とは。色んな考えが頭を駆け巡る。そして私は、ドアノブを捻った。
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