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友人の顔をもう一度見る。
「食え」
その一言は私に再び生と食への希望を取り戻させるのに十分な力を持っていた。忘れていた眼の光が私に戻る。白米を温めなおし、椅子に座りなおす。そして友人から受け取ったの卵を、湯気が出ている白米の上にダイブさせる。心なしか卵と白米がいつもより一層輝いて見える。そして醤油を一回し。最後に手を合わせて合言葉を唱える。
「いただきます!」
口の中に幸せの風味が広がり、絡みつく。あぁ、これほどまで幸せな食事があっただろうか、いや無い。
「…上手いか?」
「…ほいひいでふ」
「…そか」
友人が私を幸せな馬鹿を見る目で見ていた事に気付いたのは、食べ終わってからだった。
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