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プロローグ
その知らせを聞いたとき、間宮くるみの世界は一変した。
「桜木、その話は本当なの……?」
小鳥のさえずりが聞こえる、うららかな朝。アンティーク家具に囲まれた貴族の邸宅のようなくるみの部屋に、「ええ、本当です」と神妙な面持ちでそう返したメイドの声が響いた。天蓋付きのベッドに腰掛けていた主人は、目元を手で覆い隠してため息をついた。
「なんてことなの……!これは、由々しき事態よ。まさか、そんなことが……っ」
「ええ。この話が事実だとしたら、このまま放っておくわけにいきませんよ、お嬢様」
渡された資料に再度目を通すと、そこには目を覆いたくなるような事実が書き連ねられている。信じられない。嘘じゃないの?と、何度確認しても、変わらない事実に彼女は体を震わせた。
「お、お嬢様……?大丈夫ですか……?」
遠慮がちに声をかけてくる桜木に「こんな事実を知ってしまって、冷静でいられますか」と返す。
「私がやりこんでる乙女ゲーム『イケメン騎士と王宮の姫君』のキャラが実在するですって⁈」
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