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遊の問いかけに、彼方はう〜んと腕組みをしながらそう答えた。
「……あの、院瀬見さん」
しばらく黙っていた朝陽は手のひらをギュッと握りしめ、神妙な面持ちで切り出した。
「もう見て見ぬ振りはやめませんか?……ここ数週間ほど間宮さんのことを見てきましたけど、本当によくやってくれています。隠してるようですけど、図書館でいろいろ調べ物をしたり、仕事をたくさん片付けてくれたりして……。最近は目の下にクマもつくって、それでも泣きごと言わずにやってくれてるじゃないですか」
朝陽がそう言うと、「まあ、仕事が楽になったのは間違いないよね」と理人が付け加えた。だが、令はの表情は厳しいまま。と、そのとき──。
「すみません!生徒会の方いますか⁈」
しんとしていた室内に突如、扉を叩く大きな音と切羽詰まったような男子生徒の声が聞こえてきた。彼らは一瞬顔を見合わせ、扉に近い彼方がドアを開ける。
「どうしましたか?」
彼方がそう尋ねると、男子生徒は額に汗をかきながら慌てた様子で「間宮さんが大変なんです!」と叫んだのだった。
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