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「……あなたたちは今日、私の逆鱗に触れてしまったようね」
くるみはそう言って、静花の胸ぐらを掴む手をグッと手前に引き寄せた。彼女はひどく怯えた表情でくるみを見上げた。
「……私がこれまで、ただのうのうとやられっぱなしになっていたとお思い?証拠の写真や音声はきっちり揃っているんですよ?」
静花の耳元でクスリと笑って、そう脅す今のくるみの姿は聖母のような微笑みを携え男子生徒たちに手を振りながら選挙に励んでいた姿とは、大きくかけ離れていた。
これがあの彼女と、同一人物なのか。
周囲の者たちはそんな気持ちで、くるみを見つめているようだった。
「も、申し訳ありません……!」
「この落とし前、どうつけてもらいましょうか?」
ドスのきいた声で縮こまってしまった静花を睨みつけるくるみ。これではもはや、どちらが悪役なのか分からない。
「何事だ」
このままだと静花をどんな手で痛めつけるか分からない。そう思ったのか、ファンクラブの面々を脅しているくるみを止めたのは、会長である令だった。
聞こえてきた声にハッとしたくるみと静花は、勢ぞろいしている生徒会の面々を見つめ、ようやくことの状況を把握し、その顔をサッと青ざめさせた。
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