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「桜木!今、メインの登場人物は実在するって言った⁈」
「ええ。日本にいらっしゃるとお聞きしましたが──」
その言葉に、くるみはキラキラと目を輝かせた。桜木の手をギュッと両手で握り締めた彼女は、「桜木」とその名を呼んだ。
「日本へ戻りましょう!イケメン騎士が実在するなんて、そんなの見に行くっきゃないわ!!」
「お、お嬢様!大丈夫なのですか⁈日本には、当分帰りたくないとおっしゃっていたのに……」
「桜木は実在の彼らを見たくないの⁈大人の色気あふれるダニエル様の顔がめちゃくちゃ好みだって、この間話してたじゃない!」
「それは、もちろんそうなのですが……」
「そうと決まれば、早速調査よ!!桜木、まずは彼らの情報を集めてちょうだい」
「承知いたしました、お嬢様!」
指示を受けた桜木はくるみに一礼すると、すぐさま調査に取り掛かるため部屋を出ていった。
一方のくるみはというと、机の上に置いてあったメインキャラクターが描かれたゲームのパッケージを手に取り、うっとりとした表情を浮かべた。
「彼らが実在するなんて……!現実世界のイケメン騎士たちは、どんな人たちなんだろう。あわよくばお近づきになって、仲良くなれたら最高なのに……!」
ニヤニヤと笑いながら、そんな妄想を繰り広げるくるみ。
その後、彼らが日本にある帝華学園に通う高校生だという情報を入手したくるみは、編入試験を受けるべく猛勉強を始めた。
5月というイレギュラーな編入を果たした彼女がこの帝華学園へやってきたのは、こんな邪念が理由だった。
生徒会副会長に立候補したのも、もちろん彼らが目的。自分の持てるもの全てを使い、彼女は自らの手で副会長の座を勝ち取ったのだ。
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