15人が本棚に入れています
本棚に追加
◇◇◇
「……みなのもの……わたくしをまもるのです……うふふ…」
医務室のベッドに寝かされたくるみが緩んだ顔で発する寝言に、周りを取り囲んでいる生徒会メンバーたちは口元を引きつらせた。
突然倒れてしまったくるみに、ひとまずその場はお開きに。朝陽がここまで彼女を連れてきたのだが、あまりの変わり様を目にした彼らは、違う意味で頭を抱えていた。
「まさか、俺たちの知らないところで、こんなゲームが製作されていたとはね」
遊はそう言いながら、騎士の格好をしているイラストが描かれたクリアファイルを手に取った。
騎士団のモデルは明らかに自分たちだった。早速、令が使用人に調べさせたところ、発売の前段階で頓挫した「イケメン騎士と王宮の姫君」というゲームの存在が発覚。
ゲームを手掛けていたのは、くるみの父親が経営するMAMIYAの関連会社で、令は彼女がこのゲームの熱心なファンであることまで突き止めた。
「見事に猫を被っていたわけですよね。あの豹変っぷりには、俺もびっくりしましたよ」
彼方はそう言いながら、むにゃむにゃと口を動かして、のん気に眠るくるみに目を向けた。
「……女優になれるくらいの完璧な演技でしたね」
朝陽は褒めているような発言をしているが、心のなしかその表情にはどこかショックを受けている様子が伺えた。
何しろ、可憐な印象の少女だと思っていた彼女の、まさに悪役という感じの恐ろしさと、ナルシストっぷりを目の当たりにしてしまったのだから、こうなるのも無理はないだろう。
「で、院瀬見、どうするんだ?彼女の処遇は」
最初のコメントを投稿しよう!