波乱の幕開け

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理人は、先ほどから窓際の壁に腕を組んでもたれかかって考えごとをしている令に、そう尋ねた。理人の言葉に、他のメンバーの視線も会長に移る。 「俺に任せろ」 令はそう言うと壁から離れ、そのまま寝ているくるみに近づいた。かと思えば、急に右手で彼女の頭をわしづかみ、「いつまで寝てるつもりだ、このバカ女!」と声をあげた。 「イタタタタタ!!!痛い痛い!!!」 突然の痛みに飛び起きたくるみは、うまく反応できずに素の声色で返してしまう。 その後、令の手が離れると自分を囲むように立っている生徒会メンバーの顔が目に入り、「え⁈な、な、な、何で皆さん、ここに!!!」と、この状況に混乱しているようだった。 「何で、ここにじゃないだろ。……その前に、お前は俺たちに説明しなければならないことが、あるんじゃないのか?」 嫌な笑いを浮かべた令が手にしていたのは、くるみが大事にしているイケメン騎士のクリアファイル。 それを見た瞬間、サーッと顔を青ざめさせたくるみは、冷や汗を垂れ流しながら、にっこりと笑い「な、何のことでしょう?」としらばっくれた。 ここまでバレていてしらを切ろうとするくるみには感心するが、もちろん、それが令に通じるはずもなく──。 「覚悟は出来ているんだろうな?間宮くるみ」 と、一条静花を脅していたくるみに負けず劣らずのニヒルな笑みでベッドに縮こまるくるみの顔を見つめたのだった。
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