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「任を解くって……そんな、何でですか⁈」
令の下した処遇に納得がいかないくるみは、そう言って食い下がる。
令を除く他の4人は、ただじっとふたりの様子を眺めているだけで何も言わない。
くるみに詰め寄られている院瀬見は腕を組んでため息を吐くと、刺すような目つきで彼女を見つめ返した。
「さっきも言ったように、面倒ごとが増えるのは御免だ。これまでの5人で何の不便もなくやってこれたんだ。わざわざトラブルの種を置いておく必要もない」
「私は公正な選挙で選出された副会長ですよ!それを勝手に解任するだなんて……!」
「俺たち執行役員には『職務の遂行に著しく不適当な場合は、当該役員を解任することができる』という権限が与えられているからな」
「それって、普通は全校生徒3分の1以上の署名が必要とか、そういうルールじゃありませんでしたか⁈」
「普通はな。だが、我が生徒会においては、そういう特別ルールが定められている。それに──」
令はそこで言葉を区切ると、ゆっくりとくるみに近づいていく。突然、距離を縮めてくる院瀬見にくるみは「か、会長⁈」と慌てた様子で後退りをした。
ベッドの上に乗り出し、令は壁際までくるみを追い詰めると、そのまま顔の横に両手をついて彼女の顔をじっと見つめる。
(な、何⁉︎このご褒美イベントみたいな壁ドン!!)
この状況に混乱したくるみは心の中でそう叫んだが、そこにゲームのような甘い雰囲気はなかった。
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