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令は見下したような冷淡な表情でくるみを見つめた。
「……お前が生徒会に入った理由は、こういうシチュエーションを楽しむゲームの影響だろ。人の顔を利用したゲームで遊ばれていた俺たちが、いい気になると思うのか」
その言葉を聞いてくるみはハッと目を見開いたあと、「それは……」と口ごもる。令はその場から立ち退くと、くるみに背を向けてドアの方へと歩き出す。
「厄介な父親を持つ一条静花のことだ。このまま大人しくしているとも思えないしな」
「そういうことだから、諦めろ」と、遠ざかっていく令の背中。
他のメンバーもそれに続いて歩いていく中、くるみはベッドの上で俯いていた。その肩はふるふると小刻みに震えており、手のひらは力強くギュッと握り締められている。
「ま、待ってください!!」
くるみはそう言って顔を上げると、背中を向ける令たちを呼び止めた。彼らの足が止まったことを確認したくるみは、姿勢を正す。
「……ゲームのことは謝ります。不快な思いをさせてしまって……申し訳ありませんでした」
彼らが振り返った先には、ベッドの上で土下座をしているくるみがいた。
「動機が不純だったことも認めます。でも……一度やると決めたことを途中で、簡単に投げ出したりしたくありません」
顔を上げたくるみは、強い意思をもった真っ直ぐな瞳で生徒会長のことを見つめていた。
「……どうか、解任は撤回していただけないでしょうか」
再び頭を下げるくるみをじっと見つめる令。
「あの……!」
と、そのとき。
彼らを呼び止める大きな声が室内に響いた。声の主は、ずっと黙っていた朝陽だった。
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