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思わぬ人物が声を上げたことに、くるみは驚いているようだった。「どうした?朝陽」と理人が尋ねると、朝陽は顔を上げた。
「俺は……、俺は間宮さんを解任することに反対です」
手のひらを強く握り締めた朝陽は、力強くそう言った。
「確かに動機は不純かもしれません……。ゲームのことに関しても、正直自分には理解し難い部分があるのも事実です。それでも……この数日間、間宮さんがいて助かったことはたくさんあります」
朝陽はそう言うと、ベッドの上で正座をしているくるみを見た。
「そこは、評価してもいいんじゃないですか」
「久坂くん……」
自分を擁護する発言を聞いたくるみは、朝陽の言葉にジーンと感動しているようだった。朝陽を真っ直ぐに見つめていた令は、今度はくるみに視線を移した。
「と、久坂はそう言ってるが、どうなんだ」
「え……?」
「お前はこの生徒会で、その評価に値する働きを見せることができるのか?」
「評価に値する、働き……」
そう呟いたくるみは、すぐさま「出来ます!何だってやってみせます!!」と勢いよく返事を返す。その言葉に、「ほお」と眉を上げてくるみを見つめる令。
「何だってやってみせる、か」
「はい、雑用でも何でも!!」
くるみがそう言うと令は「言質は取った」と言って、くるりと背を向けた。その顔には意地悪そうな笑み。そして──。
「解任は取り消してやろう。橘、そいつに明日俺たちがやる予定だった仕事をふっておいてくれ」
「え⁈」
「明日……ああ、なるほどね」
あっさりと令が解任を取り消したことに驚いたくるみは、展開の速さについていけていないようだった。隣にいる理人を困ったような顔で見上げている。そんなくるみに、にっこりと笑いかけた副会長。
「生徒会が管理している資料室の整理。不要なものも多くて、資料を探すのに手間がかかるから大掃除したいと思ってたんだよね」
それを聞いて、くるみは口元を引きつらせた。
「あ、あの資料室ですか……」
生徒会が管理している資料室といえば5教室分くらいの広さがある。もちろん、そこに管理されている資料の数も膨大。
「何か文句あるのか?」
顔だけくるみの方を向き、そう尋ねる生徒会長様の顔は、それはもう意地の悪そうな表情を浮かべていた。だが、崖っぷちのくるみがどうしてそれに反論できようか。
「いえ!精一杯頑張ります!」
頬を引きつらせながらも、そう言って両手の拳を握り締めてガッツポーズを見せたのだった。
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