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異常気象は奇妙な出来事のはじまりでした
数日間、雷雨が降り続く異常気象に僕はかけても繋がらない電話にかけている。
「のどかちゃん、怖いよ。会いに来てよ」
彼女が見つけてくれた大人の人の身長ほどありそうなシロクマさんを抱きしめて、僕は声を震わせていた。
『会いに行ったら、怖がるでしょ?信じられないと部屋に入れてもらえないのなら、わたしは・・・』
ファンタジーに反論していた僕に、悲しそうに目を伏せて笑うのどかちゃんは、出会った頃より痩せていて、髪も偽りの髪だった。
ドン!!ゴロゴロ・・・
近くに落ちたのか、停電になる。部屋が暗くなっても、安堵していた声は聞こえないのに、また会いたいんだ。
「信じるからさ、会いに来てよ!!」
つぶらな黒い瞳に雷鳴の光が映った。シロクマさんのふわふわした手が僕の天然パーマの髪に触れる。生前、のどかちゃんが、僕の髪に手を伸ばして撫でてくれたように。
「のどかちゃん?」
ゴロゴロとまた光だし、僕は強く目を瞑ってしまっていたから、奇妙な出来事は、なかったように強めに抱きしめているシロクマさんが、僕の胸の中でおさまったまま。
雷鳴の怖さで一瞬ありえない光景を見ていたんだと思ってた。
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