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麻袋を纏め終えた僕と美園さん。いきなりの告白は静まり返るもの。後ろ手を組んでこちらを振り向いた美園さんは。
「返事はいつでもいいです。あたし、待つのは慣れてるから」
今すぐに家に帰り、シロクマさんに問い詰めたくなる。けれど、意思を確かめるためにはどうすれば?
『結城くんはモテるんだよ。知らないだけ』
のどかちゃんと僕と美園さんと3人で行った居酒屋で、席を立った美園さんの後ろ姿を見ながら、そんな風に首を傾げていた。
「あの時から」
「いつの話してます?あたしは、ずっと片想い中ですよ」
のどかちゃんが僕の前に現れたのと、美園さんの告白は計画していたのだろうか?
****
わたしはシロクマさんの中に宿っている。今頃、沙良ちゃんは告白しているはずだわ。わたしは、彼が帰ってきたら、こくりこくりと頷いて押すしかないわね。
~5年前~
『本城さん、ギャン泣きじゃないですかぁ!!』
ふわりふわりと魂として漂っていた。亡くなった日からずっと、アニメやドラマのように人の身体を借りて現れようとも考えたけれど、あんな風に知らない人にギャン泣きされては困る。
『どうして、美園さんには言って、僕には』
ギャン泣きし終えた結城くんが、泣き疲れ、ノンアルで潰れた頃。沙良ちゃんは、魂のほうを見て話しかけた。
『約束は果たしますから、心配しないで成仏してくださいよ?のどか先輩』
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結城くんはモテる。当の本人は鈍感なだけ。そう語るわたしは、大きな白い手を見つめて、どうしたものかと悩んでいた。
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