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シロクマさんまで彼と一緒に越してきた時には驚いた。両親に手紙を送って、わたしの遺品は全部処分してもらった。思い出のアルバムは段ボールに入れて実家に送ったけれど。空っぽな部屋を見てまた、結城くんは泣いていた。
『のどかちゃんとの思い出再現するから』
魂ながら思ったものだ。これは進めないぞと、さてシロクマさんに魂を移せることは前からわかっていたけれど、いきなり動くと驚いて失神しかねないから、タイミングを計らねば。
『1週間は経験したことがない天気になる予報です』
テレビからそんな声が聞こえた。見れば雷マークばかり、わたし好みの色のソファーに座って結城くんは、シロクマさんをぎゅゅゅーと抱きしめている。これしかないと思ったわけ。
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「じゃ、じゃーん。これで意志疎通できるよ。のどかちゃん」
五十音をコピーした紙を用意して、結城くんはご機嫌にわたし(シロクマさん)に話しかけているの。
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