やすらぎの里

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 香川は以前より、どのような人にも慰めが必要だと言っていた。  彼には人間には悪人も善人も境目がないように映っているようだった。 「人には皆、心に刺さったトゲがあってね、それを抜いてあげるのが私たちの仕事なんだ」    それは省子が何度となく聞かされた言葉だった。  それを実践するために彼は、同調するカウンセラーを雇い入れ、利用者の心の痛みを見つけ出し、軽減させる施術を行わせた。  その仕上げとして、理事長自らが利用者と一対一で向き合う工程を担っていた。
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