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チェリーが放った風輪と、私の放つ雷電のクロス技テンペストがアンデットたちを襲った。
防御力の低いシューターとヒーラーが倒れると、タンクのビームシールドが粉々に散った。私は盾を失った二体をライディンソードで横一線に薙ぎ払った。同時にチェリーが、二体を後ろから双剣で切り裂いた。
タンク二体が消えると同時に、悪魔像が音を立てて砕けた。現れたものは目を奪われるほどに妖艶な姿をしていたが、その顔面は直視できないほど腐った肉と蟲で覆われていた。
「ギリ間に合いましたね先輩」
「忘却のグレモリー……」
「グレモリー?」
「ソロモン七十二柱の悪魔。その、なれの果て。と言ってもゲームだけどね。くるわよ!」
私達が防御体制をとると、グレモリーが叫び声を上げた。それは玄室の壁に反響し空気を震わると、私たちを無数に切り裂いてダメージを負わせた。
「うそ! 防御力まで落とされた!」
エリクサーでは基本数値の低下は戻せない。
「特殊攻撃の効果は一定時間で回復するから、それまで耐えないと」
「先輩、あれ!」
チェリーが示したグレモリーの頭上に数字が現れていた。
「次の攻撃までのカウントだわ」
「先輩、スキル全開でいきます。出し惜しみなしで」
「了解」
私たちはラスボス忘却のグレモリーに全力で挑んだ。
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