耳好きわんこ。

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耳好きわんこ。

土曜日の朝。 二人はファミレスで朝食をとろうとしていた。 久々に予定が合い、趣味の展示会が開催されるこの日に合わせて、前日からホテルに泊まっていた。 朝食はおしゃれなカフェを予定していたのだけれど、お互いに朝から探し歩くのが面倒になってしまったので、手ごろなファミレスで手を打ったのだ。 cbf99b55-8516-472f-ae11-c21f8272abbc 「大翔は何食べる?」 「うーん…僕は米が食べたいから、ラザニアかな。」 「僕はセットにしよう。それじゃ、注文するね。これと…これ…あと、ドリンク。」 「ドリンクついてるよ(笑)?」 「あ、ほんとだね(笑)」 「これでOK。飲み物取りに行こう。」 「うん。」 朝のファミレスは人がまばらで、ドリンクがたっぷりと用意されている。 「お待たせしましたー!こちら、ラザニアでございます。」 「はい!」 「こちら、朝食のセットでございます。」 「ありがとうございます。」 「どちらもセットのスープがついておりますので、あちらからご利用ください。ご注文は以上でよろしいでしょうか。」 「はい、ありがとうございます。」 「失礼します!」 スープコーナーを見ると、一生懸命にスープの具をすくい上げようとしている中年男性がいた。二人はそれを見てからお互いに顔を合わせた。 ………。 712b1e7a-0249-4b62-850a-0bd66f613f62 「…スープは良いかな。」 「…僕もいらないな。」 「それじゃいただきます!!」 少し歩いてお腹が空いていたので、二人はあっという間にお皿を空にしてしまった。 「まだ、もう少し食べたいな。」 「甘いもの食べたら?小倉トーストあったよね?」 「小倉トーストか…颯も一緒に食べない?」 「うん、少し食べたい。」 「じゃ、決まり。注文っと。」 「お待たせしましたー!こちら、小倉トーストでございます。」 「はい、ありがとうございますー。」 「お済みのお皿はおさげしますね!」 「あ、よろしくお願いしますー。」 「恐れ入ります、失礼します!」 e238a98a-0568-4433-8f99-66ffdbf7fe1a 「美味しそう!」 「大翔、待って!耳…食べていい?」 …………。 「えっ!?…ああ、パンの耳ね(笑)!一瞬、何を言うのかと思った(笑)。」 「ばーか(笑)!意味が違うよ!!」 「昨日、あんなに颯の耳食べてあげたのに、まだ足りないの(笑)??」 「ちっ、ちがう(笑)!!うるさい!!」 「ほんと、颯は耳好きだな(笑)。」 「耳好きは間違ってないけど、なんか間違ってるから(笑)!!」 「…何が違うの?ん??言ってごらん?」 「うっ…もういいよ!皿かして。」 「ふっ…かわいい奴(笑)。」 「…。」 急に太翔が主導権を握り始めた。 こうなると颯は大翔のペースに逆らう事が出来なくなる。 大翔の言う通り颯はパンの耳を食べるのが大好きだが、それ以外にも…。 実は大翔に耳を食べられるのが大好きという情けない性癖もあるのだ。 颯はナイフとフォークを使ってパンの耳をくり抜いた。 「できた!」 ea865f2c-e248-4f35-aade-b6807fef3aa7 「器用(笑)。ほんと耳好きだよな。」 「うるさいな!大翔が俺の耳を食べたから補充だよ(笑)!」 「ぷっ(笑)!わかった、いっぱい補充しておきな。また今度、たくさん耳食べてあげるから(笑)。」 「…?!…なんで大翔はそんなに俺の耳が好きなの?」 「え?…だって声がかわいいから。」 「…言うな。」 「それに、背の高い颯を支配できるから楽しいし。」 「わかった、もう言わなくていい。わかった。」 「耳、嫌??」 「…い、嫌じゃない。」 「ふっ(笑)。この耳好きわんこめ!」 「ふん!この舐めネコめ!………………まあいいけどね。」 「ぷっ(笑)」 ―END—
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