四季目線

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四季目線

こんな5月晴れの良い天気の日に鬱陶しい女がまたやってくる。 何度断っても父上は女をあてがう。 誰にも話した事はないが、私は女に興味がない。学生時代、好きだった男には打ち明けることもできず友達止まりだった。 うっかり手が触れようなら心臓が爆発しそうにドキドキした。 そのかわり、いい寄る女が沢山いたが気持ち悪くてゾッとした。 卒業パーティーで沢山の女達からダンスを申し込まれたが、私が踊りたいのはあの恋しい男だけだった。そいつが女と踊る度に嫉妬で狂いそうになり、早々に引き上げたのを今でも覚えている。 男が好きだなんて知れたら世間に何を言われるかわからない。私だけの苦しい秘密だ。 どんな女が来ようとも、私は惚れることはない。 美しいと評判の婚約者候補が何を思ったか、私の部屋に下着姿で夜這いにきた。寝てる私に口付けをしてきて、目が覚めて突き飛ばしてしまった。 「きゃー」と声を立てながら「抱いてください」とか言っていたが、私は「出て行け!触れるのも気持ち悪いのに口付けとは!」 「二度顔を見せるな!」 怒鳴りを表にし追い出したのだ。 それから私は変人とか男色とか言われるようになった。 金や見た目だけで寄ってくる女には吐き気がするから私には好都合な噂だと思っていた。 しかし父は焦って今回は結婚してもらうからな。結婚しなかったら勘当だと脅しをかけてきた。嫌な噂を早々に払拭したいらしい。 今回はどうにも逃れられないのかと思うと気分が晴れない。 仮面夫婦でいいから父を納得させるしかない。
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