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四季目線2
初めて目にした静子という名の女性は地味で今までの令嬢とは違っていた。
夕飯の手伝いをしたり変わったやつだ。
歩き方が女にしては大股でどことなく男っぽい。今までの女よりは若干マシ?かも知れない。しかし、私を見て顔を赤らめるところはやはり女だ。
ふぅっとため息を吐きながらデスクに向かう。
仕事が溜まっていて今夜も徹夜になりそうだ。
父は私の気持ちも知らずに結婚を勧めくるが、それがかなりの負担になっている。
女相手などたまったものではない。
明日は早朝から会議があり、いつもより1時間も早く行かねばならぬというのに。
せっせと書類整理をしていると、どこからか聴いたことのない音が聞こえてくる。
静子の部屋か?うるさいやつだ。
楽器に合わせて歌が流れてくる。
その歌詞を聞くと四季の目から涙が溢れてきた。
私は女の歌声に涙など…
男の切ない気持ちを歌い上げる歌詞に自分の気持ちが溢れてしまう。
四季は自分でも気づかないうちに静子の部屋の扉を開けていた。
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