公演を控えた俺が大正時代に転生して溺愛されました。

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5月晴れの青空が広がる朝。 妹のお下がりを着た俺は見たこともない男に嫁ぐ。 男に嫁ぐ…いやまだ婚約だ。 まだ女を知らない童貞の俺が操を男に… 想像すると泣けてくる。 涙ぐむ俺を見て勘違いしたキヨは 「誰もお見送りに出てこないなんて不憫です」 と言いながら目を真っ赤にした。 「ありがとう、キヨ。キヨが居たから生きてこれた。これからも幸せを願ってね」 「お嬢様…うっ…」 泣いているキヨと名残惜しむ間もなく電車に乗り込み隣町に向かった。 レトロな雰囲気ばっちりの電車に乗りその時代を満喫して、微笑んだ。 大正ロマンかぁ。 できれば綺麗な顔の男に転生したかった。 静子も手入れすれば美しい顔だと思うが、あいつらはずっと虐げてきたんだろう。 よく耐えて来たなと感心するよ。 そんなことを考えてると隣駅に着く。 駅には旦那になる人の使いが来てるはず。 キョロキョロしながら歩いてると、身なりの良い初老の男に声をかけられた。 「静子様でしょうか?お待ちしておりました」 戸惑いながら荷物を預け後についていく。 「こちらへどうぞ」 ハイカラな自動車のドアを開けて手を差し出す。 古っいっっ!動くのこれ! 恐る恐る乗り込むとプスプスと音をたて動き出す。 おぉーすごい。 新しい曲浮かびそうだよ! あっそういえば武道館どうなったんだろう。 夢の武道館…
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