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今日は父の仕事関係のかなり大きなパーティーがあるそうで
先月、めでたく二十歳になった私は
今夜がいわゆる社交界デビューというわけだ…
“どうでもいいよ…SACHI
こういうの苦手なの…“
“なりません❗”
SACHIがピシャリと私を黙らせる
こういう時のSACHIは
凛としていて
何者にも隙を与えない威厳を漂わせる
“はいはい…
着物だけは嫌よ
お料理が食べれないから”
SACHIは呆れたように軽くため息をついて
濃紺のベルベットと
オフホワイトの切り替えのあるイブニングドレスを“いかがですか?”と言いながら私をふりかえる
“嫌だと言ってもそれでしょうに…”
そう言いながら私はドレッサーの前におとなしく座る…
まるで、猫…いや…虎に見据えられたネズミのように…
SACHIがパンパンと手を叩くと
慌ただしく私の髪を結う者…
私の顔に化粧をほどこす者…
あ~………
耐え難い…
一番苦痛の時だ…
仕上がった私をSACHIが確認する
“お嬢さま
お美しゅうございます
いってらっしゃいませ”
着物姿のSACHIが深々と腰を曲げる
(合格か…)
そう心のなかで呟くと
エントランスで待つ父が
“馬子にも衣装だな”と嬉しそうに微笑む
(うるさいぞジジイ…)
また心のなかで呟くと
父と共に迎えの車に乗った
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