再会

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SACHIが “お嬢さま 素敵なお客さまでございますよ”と声をかけてきた 振り向くと 真っ赤な薔薇の花束を持ったJoshuaが立っていた “今日はお招きいただきありがとうございます” 彼は父に挨拶をし 母と祖母にも“おめでとうございます“と声をかけ ゆっくりと私の前にやって来た (なんてスマートな物腰だろう) 私は彼の所作に感動していた “また会えたね… とっても綺麗だ… 綺麗すぎて、とても隠れんぼしてる人とは思えない” そう言って 薔薇の花束をそっと差し出した “ありがとうございます その… 今日はかくれんぼしたくても袖が邪魔で…” 彼は笑いをこらえて “とても綺麗”と何度も言った 仕事の合間に来てくれたようで 彼は1時間程で帰っていった 帰り際に お見送りにエントランスまで行くと 彼はまた “ねぇ… 今度はいつ会える?”と私の顔を覗き込んで聞くのだ 私が “いつでも Joshuaさんが来れる時に寄ってください 私はここで待ってますから”と応えると 彼の顔が瞬く間に輝き “本当に?” と何度も言うので “本当です”と何度も応える羽目になってしまい とうとう私が 彼が口を開く前に “本当です!”と応えると彼は嬉しそうに大笑いしたあと仕事場に帰っていった 人と話すのが苦手で なるたけ 知らない人と接触せずに済まそうとする私が 彼にだけは 億劫さも感じずに言いたい事を臆せず話して ケタケタと笑っていることが 不思議で仕方がなかった “本当に 2000年前から知ってるのかも…” クスッと笑って 私はまた客室へと吸い込まれていった
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