沈黙

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暫くして 先日の我が家のホームパーティーにも お見えになっていた方が 息子さんを連れて父の元に御挨拶に来られた “息子のロバートです お嬢さんと同い年ですよ”と紹介された 明るい髪色の 吸い込まれそうな綺麗なブルーの瞳のハンサムなその人はニコリと微笑み “お綺麗ですね” そう言って私の手をとり “踊っていただけませんか?”と誘われた 戸惑う私に父が   “踊ってきなさい 若いものは若いもの同士で楽しくやりなさい 私のことは気にしなくて良いから” とニコリと微笑んで言った… その時初めて これは仕組まれたことではないだろうか? という感情が沸き上がった 父は何を考えているのだろう… そう気づいた時には既に私は ロバートにエスコートされフロアの中央まで進んでいた ダンスも一応 厳しく教わったので パートナーの足を踏むような粗そうはしないが 妙に体を密着してくるロバートには辟易した 腰をまわした手で 背中から腰をすーっと撫でられたときは ゾッとして鳥肌が立った わざと足を踏んでやろうかとさえ思った
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