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異端児
帰宅するなり
私は自分の部屋のドアを勢いよく閉めた
ついでに
誰も入れないように鍵を閉め
庭つづきになっている窓のカーテンもしめた
力なく椅子に体を投げ出すと
静かに目をとじて気持ちを落ち着かせようとした
私の様子がおかしいことから
母が父を問い詰める声が聞こえる
父は母に冷たくされるのが一番堪える…
父の声は
母の声よりはるかに小さく
何やらモゴモゴと歯切れ悪く…
応える声も途切れ途切れでしか私の部屋まで聞こえてこない
どうやら今は祖母も加わり父へのお説教が始まったようだ
母が
“そんな大切な事をあの子の気持ちも確かめないまま…
しかも…私に何も相談してくださらないなんて…
あんまりです…”
父には
母の涙が一番の罰だ
祖母は
“誰に似たんだろうね~”
と呆れた口調てぼやいている
“今度から美兎の気持ちを確かめてから…”
“当たり前です!”
父が最後まで言うのを待たずにピシャリと母と祖母が言う
少し父が可愛そうな気もするが
ここは我が家の女傑2人に任せておいた方が良いなと思いながら
疲れていたのか、私は椅子に腰かけたままウトウトと舟を漕ぎだした
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