Another jealousy

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その時 ゆっくりと美兎がこちらを向いた 俺の顔を見て 一瞬、驚いたように目を見開き そして…辛そうに目を伏せた… いったい俺は どんな顔をしていたのだろうか… 情けない顔だったに違いない 美兎に嫌われただろうか… もっと美兎と話がしたい… その時 会場の奥からマネージャーがやってきて どうしても挨拶をしてほしいスポンサーが来ているからと… 強引にその場から離されてしまった スポンサーに挨拶をしていても 美兎の事が気になってしょうがない ついつい目で探してしまう… また… どこかに隠れていないか… 退屈してるんじゃないか… その時… 若い男にエスコートされながら フロアの中央に向かって歩く美兎が目に入った… 美兎と同じ年頃のブルーの瞳…ハンサムだ 美兎の腰に手をまわし… 2人でダンスを踊ろうとしてる……………… (美兎にさわるな!) 意味もなく腹が立つ 美兎にも腹が立つ 俺とも踊ったことがないのに… 踊りながら美兎の腰にまわしていた奴の手が 美兎の背中に動き 背中からすーっと腰まで撫でたのを見たとき 俺はこれまで経験した事のないほどの怒りで震えた 奴を殴ってやろうかとさえ思った どこにパパラッチが潜んでいるかわからない場所で 軽率な行動をすれば 諸藤家にも迷惑がおよぶ… 俺は唇をぎゅっと固く結び拳を握りしめた… しかも あろうことか 奴はダンスの後 美兎の耳元で何か囁いている (それ以上近づくな!) 男がダンスの後にパートナーに囁くことといったらひとつだ “もう少し静かな場所に行きませんか” 美兎は… 断るよな… 断ってくれ… 美兎が俺には見せてくれなかった満面の笑顔を向けている… 俺は 今すぐにでも美兎を奴から引き離したい衝動に駆られた が…その時… 男の眉がいびつに少し歪むのを俺は見逃さなかった… ふられたな… 一瞬で溜飲が下がるのがわかる なぜだ… なんだろう…この胸の痛みと…怒りは… いや……… わかっている……… これは………嫉妬だ 俺は………美兎を愛している… それも かなりの重症のようだ…
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