ATSUKO

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慌てて“シー!”っと人差し指を口元にもっていく それから私は、必死に頭の中を整理しようと目を白黒しているATSUKOに、彼と出会ったきっかけからの全てを静かに話し出した… ATSUKOは切れ長の目をまっすぐに私に向けて静かに最後まで黙って聞いていた “どうやら… 美兎の妄想でも幻覚でもなさそうね… ドラッグでもやってんならぶん殴ってやろうかと思ったけど…” “は?……” ふふっと悪戯っぽく笑うとATSUKOは “間違っても…あいつはやめときなよ…” ロバートを指差し、ニヤリと笑った… “あいつは家柄も顔も良いのに、今までの交際相手と長続きしたためしがない 相手の気持ちよりも極端に自分優先だからね… ゼミでのディスカッションの時には、 えらくご立派な事を発言するから、教授達からは評判が良いけど… 本心から言ってるかっていったらそうじゃない 誰かの受け売りだったり ゼミ仲間の意見を盗んで、 さも自分の意見のように発言する 奴の普段の言葉にも心を感じたことがない… 美兎のこと狙ってるみたいだけど… いい?奴だけはダメよ” “そんな気持ち更々ないよ… だいたい、同じ大学で同じゼミというのも最近まで知らなかったし… ロバートには悪いけど全く興味ない…” “それでよろしい” ATSUKOがおどけたように言う “それで 本命さんの事だけど… 厄介な人に恋したもんね… よりによって… 誰にも言ってないでしょうね?” “言ってないわ… ATSUKOが初めてよ…” 学生が増え出したカフェテリアを気にしてか ATSUKOは彼の事を“本命さん”とよんだ “で 本題にはいるんだけど 私が思うに今回の熱愛は嘘だと個人的に思ってる… 彼ほどの人になると彼の意思とは全く逆な方向に取り巻きが動く事もあると思うんだよね… 美兎に対する本命さんの気持ちはわからないけど 好意をもってるから、美兎の自宅にやってきて過ごしていたんだと思うんだよね” “そうかな…” 呆れ顔でATSUKOが “当たり前じゃん! 美兎はあいつと今からデートしたり あいつの家に遊びに行ける?” 気づくとかなり近くの席にロバートが座って私達2人を見つめていた 私はゾッとして “無理”と答えた ATSUKOはニヤリと笑って “でしょ? そういうことよ” “あとは… ちゃんと話してみることね… 前に進むために” “大丈夫… どんな時でも私は美兎の味方だよ それに…本命さんも美兎と話したいと思ってるんじゃないかな… 案外、今日あたり本命さん美兎んちに来るかもよ” “まさか…” 私の言葉にATSUKOが “楽しみ~🎵”と大袈裟に両手を自分の頬に当てて “キャー💕”と ティーンエイジャーのような仕草でおどけて見せた
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