三年前

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会場はロサンゼルスでも指折りの老舗ホテル きらびやかに着飾ったセレブが渇いた笑顔で挨拶を交わしている (帰りたい…) 心のなかで呟く “お義父様?”鈴の音のような声に呼び止められる そう…明子様だ… “まぁ❗美兎さん綺麗よ❗ いつもそうしてらしたら良いのに” …“ハハ…”渇いた作り笑顔で応える 今宵の明子様は 深い緑にキラキラとラメが光る 体の線を美しく魅せるタイトなイブニングドレス 決して目立ちすぎず それでも エキゾチックな存在感は誰もがふりかえる程だ (さすがです…) 私は心の中で呟く “馬子にも衣装だなぁ” 明子様の後ろに立っていたタキシードの兄が言う (うるさいぞ) 心のなかで呟いて兄を睨んだ “美兎に毎日化粧だって? 明子…それは天地がひっくり返っても無理だよ 何せこいつは自然児だから” ククっと兄が笑いをこらえなから明子様に言う “それは正解” きっと馬鹿にしてるんだろうけど 否定するつもりもなく素直に言葉が出た 直後、父と明子様が大きなため息をついた
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