幼少期の卵

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 胸の膨らみ、触れたときの痛みはもう過ぎたけれど、思い出したくもない泥のような記憶になった。友人たちは、かわいい下着をつけたがるけれど、私はとてもそんな気分にはなれない。わざと小さいカップにして、できるだけ押さえつけていた。太っているわけでもないのに、紐のラインがろっ骨の左右に残る。無性に恥ずかしくて、やり場のない思い。  お風呂のときも、脱衣場にある鏡は意識して見ないようにしている。怖くて見ることができない。  人間の卵、人間の芽を捨てる行為はずっと私に苦痛を与えつづける。オリジナル・シン(原罪)という言葉がやけにしっくりときた。  夕陽を見ると、怖いくらいにきれいで、痛い涙が流れる。  私は、どこか変なのかな。  制服が夏服になる。なぜ、うちの高校は白いブラウスにプリーツスカートなのだろう。友人たちの身体の線がくっきりと見えてしまうと思わず目を背けてしまう。  高校二年生の夏の出来事を忘れない。  
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