神崎秀三郎の企み

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神崎秀三郎の企み

 一次選考で仲裁に入ってボロボロになり、二次選考で涙を流した奴は門倉という名前だと編集者から聞いた。  門倉はなかなか見応えがある。そして同じく最終選考まで残った中山も。  俺は中山を昔から知っている。数年前、中山を準主役に抜擢したのは俺だ。今回は主役の座を狙っているのだろう。  しかし中山はエキストラの役なんてしたくなかっただろうに。主役になるために心を無にして挑んでいるのか。  門倉か中山かどちらが最終選考を通っても面白そうだ。俺は顎髭を触りながら笑みを浮かべた。そして密かに企んでいた。
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