epilogue

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どうして彼がここに?ていうか、いま名前……。 拳はそのままで恐る恐る振り返ると、視界に飛び込んできたのはやはり成瀬さんだった。 容姿端麗で背が高く、誰よりも目を引く彼は、私だけでなく同期の視線を一気に攫っていく。 「あさ…成瀬さん、どうして…」 「さっき仕事が終わって、ついでだから迎えに来た」 そう紡いだ成瀬さんはゆるりと口角を上げた。職場にいる時には絶対に見られないような穏やかな表情に、私だけでなく周りの同期達も息を呑む。 けれど当の本人は周りの視線なんて気にも留めず、私と浮気くんの傍まで来ると私の拳をそっと手に取った。 そして今度は成瀬さんが右手に拳を作り、浮気くんの拳にコツンとぶつけた。成瀬さんと浮気くんのレアなグータッチに、思わず「わぁ」と声が漏れる。 ……じゃなくて。 「浮気くん、だっけ?京香と仲良くしてくれてありがとう」 「…え、もしかして花梨さんの彼氏って成瀬さんなんすか?やっば、なんか興奮する。このまま握手したいかも」 「俺と(・・)ならグータッチでも握手でもいくらでもするよ」 「まじっすか。じゃあ遠慮なく」 いえい、と小声で放ちながら成瀬さんと握手をした浮気くんはやっぱり変わってると思う。あの成瀬さんとフレンドリーに会話出来るなんて、どれだけコミュ力が高いの。 って、今は浮気くんのコミュ力に感心している場合ではない。だって、浮気くんの「花梨さんの彼氏って成瀬さんなんすか?」という質問に対して否定しなかったよね…?
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