12104人が本棚に入れています
本棚に追加
/315ページ
「京香」
成瀬さんが繋いでいる手に力を込める。それに応えるように、私も握り返す。
「親御さんの夢は、俺が必ず叶えるよ。焦る必要もないけど、早く安心させてあげないとな」
「旭さん…」
「あ、でもプロポーズは改めてちゃんとするから。心の準備、しておいて」
彼の言葉に、思わず顔が綻んだ。そんな私を見て、成瀬さんも優しく目を細めた。
「噂をすれば母からメッセージが…」
「今週末にでもご挨拶に伺おうか」
「え、こ、今週末…!?」
「結婚を前提にお付き合いさせていただいてます、って伝えてもいいか?」
「は、はい…もちろんです」
繋がれた手を強く握りしめ、お互いに頬を赤く染めながら、顔を見合わせて微笑んだ。
fin.
最初のコメントを投稿しよう!