戻らない時計の針

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ーーそういえば……キミはボクの名前の由来を話した事があったね。 ☆ ☆ ☆ 『今日は星がとても綺麗だよ』 星? キミの話しでは、夜空にはいっぱいの星が輝いているんだって。 『一つ一つが宝石の様に輝いて……』 キミがそう言うんだから、きっと星とは凄く綺麗なんだろうね。 『ほしはそんな綺麗な星みたいに、この世で最も綺麗な存在なのよ』 ボクが……この世で最も綺麗な存在? 『ほしは私のかけがえのない……』 “宝石の様な宝物” そう言ってボクを撫でるキミ。 夜風の寒さよりも暖かいキミの手のひら。 ボクはキミに大事にされてるんだって。 少しこそばゆかったけど……でも嬉しかったよ。 ボクを大事にしてくれたキミ。 ボクを優しくしてくれたキミ。 ボクを愛してくれたキミ。 その全てがボクにとって、かけがえのない宝物だ。 だからボクがいなくなった後、どうか悲しまないで。 キミと過ごした日々と思い出は……決して消える事は無いから。 ボクは星になってキミを見守り続けるよ。 キミをいつでも照らせる様に。 キミが自分の幸せを歩める様に。 ボクを幸せにしてくれたキミ。 だから今度はボクが、キミを幸せにする番だ。 これはさよならじゃ無い。キミが幸せになる為の門出。 だから、さよならは言わないよ。 キミと初めて出会ってから5年と9ヶ月。 今までありがとう。そしてーー “おやすみ” …
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