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タクシーがよく待機している場所まで先生にもたれかかりながら、腰を支えられてふらふらと歩く。
何だかちょっと恋人みたいとか、浮かれたことを考える。
「フフフ、私ってば、かなり酔ってますね…」
「そうですね…」
先生といる時間を少しでも引き伸ばしたくて、私は立ち止まってみる。
気分が高揚して、何でも出来てしまうような、無敵になった気分になっていた。
「好きです」って言ったら、先生どんな顔するかな?
先生は、私の顔を覗き込んで「どうしたの、気分悪い?大丈夫?」と心配そうな顔をした。
私は首を横に振ってから先生の顔を見上げて、溢れる気持ちを抑えられずに先生を見つめた。
先生の瞳が一瞬揺らいだように見えたが、すぐに優しくてしっとりとした眼差しで見つめ返してくれて、腰を支えている先生の手に少しだけ力が入るのを感じた。
私は先生の瞳に吸い込まれて、心が震えた。
―――!
気づけば、先生のTシャツの袖をつかんで背伸びをして、先生の唇の端に触れるか触れないかのキスをしていた。
それは本当に一瞬のことで、踵を地面に着けたとたんに自分のしたことの大胆さに驚いて、急に恥ずかしくなって先生の顔が見れなくなった。
そんな私の戸惑いをよそに、先生は私の腰をグイっと自分の方へ抱き寄せて私の唇を塞いだ。
今度はしっかりと唇が重なり、先生の柔らかい唇の感触を感じて、私は恍惚とした。
私はもう、夢見心地で何も考えられなくなっていた。
あぁ先生…
「好き…」
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