愛しいジェラシー

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 私たちはお酒を飲みながら、先生が借りてきたアクション映画を見始めたのだが、それももう少しで終わろうとしている。  映画は面白かったが、見終わったら…?と、その後のことを考えるとドキドキが止まらない。  実は、部屋に入ったとたん押し倒されたりなんかするのかな…と、買い物中から気が気じゃなかった。  シャワーは入らせてもらえるかな…とか、情熱的な先生を想像しては、早まるなと気持ち落ち着かせるために深呼吸したり、少々挙動がおかしなことになっていたかもしれない。冷静を装えていても、内心かなり動揺している。  本当はお酒を呷って酔っぱらいたいところなのだが、先週のこともあるので、今日は控えめにしていた。おかげで、先生の一挙手一投足にドキドキさせられっぱなしだ。  映画が終わってエンドロールになると、先生は私の顔を覗き込んでクスっと笑った。  「静かだね、疲れちゃった?」  「へ?」  「仕事後だから疲れてないわけないか…」  「いえ、大丈夫…」  「そんなに飲んでないし、酔ってないよね?」  先生は優しく、私の頬にそっと触れるだけのキスをくれた。  「お風呂、お湯溜めてるけど…入る?」  「…え?一緒にですか?」  「え?」  先生が驚きの表情を見せた。  その様子に、そんな意図はなかったことに気付かされる。  ―――わぁ…何言ってるの私、恥ずかしい…  「いえ、あの、勘違いです…入らせてもらいます…」  私がしどろもどろしていると、先生は悪戯に笑って「じゃあ、せっかくお誘いいただいたので…」と私の手をとってソファーから立ち上がった。  私は「えっ」と、息をのんだ。  先生は「アハハ…冗談だって。実は俺さっきシャワー入ったんだ。だから気にせずゆっくり入っておいで…立ち仕事で疲れたでしょ…」と言って、ギュッと抱きしめて「そんなに緊張しないでよ」と私の背中をポンポンと優しく叩いた。  緊張しないでって言われても…  そう言った先生が余裕そうで、なんだかちょっと面白くない。  お風呂から上がったら、やっぱりお酒飲んじゃおうかな…などと、あれこれ考えながら、しっかりバスタブにつからせてもらう。  少しだけ落ち着きを取り戻して、リラックスできた。  清潔感のある浴室に広がる先生愛用の石鹸の香りに心が躍る。  先生から借りたぶかぶかのTシャツと、ぶかぶかのスウェットを身に着ける。  先生とは身長差が20㎝以上あるため、まるで親の服を借りた子供のようだ。  前回、スウェットが寝ている間に脱げてしまったということがあったため、 今日はウエストをひもで縛れるタイプのものにしてくれている。  服からも、タオルからも、先生の香りがしてドキドキが止まらない。  あぁ、早く、お酒が飲みたい…  心臓がもたない…  私はスキンケアと歯磨きを済ませ、髪をタオルドライして「お風呂、ありがとうございました」とリビングの先生に声をかけた。
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