愛しいジェラシー

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 「ぶかぶかだね。可愛いな…」と、先生が笑った。  そして「来て」と、ソファー横に用意してあったドライヤーを私に見せて手招きした。  ソファーに座る先生の前に座って、髪を乾かしてもらう。  ドライヤーの温風を当てられながら、大きな手が私の髪を梳いて、頭を撫でるようにされるのがとても心地がいい。  今までの彼氏になんて、髪の毛乾かしてもらったことなんかなかった。  先生は、元カノとか元妻にやってあげていたのかな?  そんな風に思ったら、急に腹の底からモヤモヤと嫌な感情が湧きあがってきた。私はギュッと目をつむり、その気持ちを誤魔化すようにテーブルの飲みか けの酎ハイをグビグビと呷った。  先生は髪を乾かす手をとめて、急に飲み始めた私を不思議そう見つめて「冷えたのだそうか?」と優しく微笑んだ。  私は黙って頷いて、先生が冷蔵庫から出してくれた新しい酎ハイに口をつける。  そして、先生は当たり前のようにまたドライヤーのスイッチを入れた。  私はその音にかき消されてもおかしくないほどの声量で「恋人だった人の髪、いつも乾かしていたの?」と言ってみる。  「え、何か言った?」と、先生はドライヤーを止めたので、私はもう一度、小さい声で同じことを聞く。  先生は困り顔で笑って「んー…正直に言うと、何回かはやったことあったかも……」と言った。それから「妬いてくれたんだ…」と私の頬を撫でて親指で唇をなぞった。  嘘をついてほしいわけじゃないし、過去のことなんて変えられないのだからどうしようもないのに、それでもやっぱり面白くなくて、無意識に口が尖っていたかもしれない。  私の唇が先生の指でなぞられ、私はうっすらと口を開いた。  先生は、そのまま自分の唇を押し付けて、私の唇を奪った。  そして唇に軽く吸い付いては食んだかと思うと急に唇を離して「俺も…今日ちょっと不破くんに嫉妬した…」と言った。  「え?」私は、先生の目を見つめた。  余裕そうに見えて、妬いてくれたんだ…  なんだか少し嬉しくなって、ついニヤけてしまった。  「なんで笑うのさ」  「えー…結城さんでも焼きもち焼くのかーと思ったら嬉しくて」  「そりゃ、好きな子が他の男と仲良くしてるの見たら妬くでしょ」  「だっていつも余裕そうなんですもん…」  「余裕あるふりが得意なだけで、余裕なんてないんだよ…」  頭をコツンと優しくぶつけてフフフと笑った。  そして私は抱き上げられ、先生の膝に乗って、また甘い口づけをもらう。  唇を舐められて、私はそれを受け入れる。  すると瞬く間に熱くて深い口づけとなって、私はうっとりとして声が漏れた。  「ん…」  先生は、その声を合図にしたかのように私をヒョイっと軽々しく抱き抱えて、寝室へと連れていく。  私は先生の首の後ろに手を回してキスの続きをねだった。
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