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翌日はやっぱり全身筋肉痛で、夏帆さんには「まるで、ばーさんだな」と言われ、脇腹や背中を突かれて、いじめられた。
そして、夏帆さんはニタニタと笑って「今日、結城さんは店来る?会いに行こうっかなー…」と言った。
「日にち決めてちゃんと紹介しようと思っていたんですけど…」
「いや、こういうのはさ、抜け駆けだから面白いじゃん」
「また、面白がってますね…」
「噂の新人バイトくんにも会ってみたいしね」
私は、何もこんな日じゃなくても…と思ったが、夏帆さんは言い出したらきかないので、終業後、一緒にTesoroへ向かうこととなった。
*
「おぉ、夏帆ちゃん久しぶり。いつも紗雪がお世話になってます」と、雅人さんが夏帆さんに挨拶をした。
夏帆さんは「はい、お世話してます」と、ニッコリ笑顔で返して、雅人さんにちゃっかり一杯サービスしてもらっている。
「紗雪?何、変な動きして、どした?」と、私の挙動の異変に気付いて雅人さんが声をかけてきた。
「全身筋肉痛で、これでも少し良くなった…」と私が答えると、裏から拓士が出てきて「紗雪先輩、おばあちゃんみたい…昨日のあれでそんなに?」と笑った。
「6年ぶりなんだから仕方ないでしょ」と、私はむくれた。
「バレーのせいか….紗雪、今日は出なくていいよ。夏帆さんに付き合ってあげたら?客はそんな来ないと思うし、拓士いいよな?」
雅人さんの提案に「もちろんです。先輩をそんな体にした責任の一端は俺にもありますからね…」と含み笑いで答えた。
「なんか、その言い方すごく嫌…」と私は拓士を睨む。
「おーい紗雪、おかわりー…」と夏帆さんに呼ばれて、私はヨボヨボとゆっくり夏帆さんの元へ向かった。そして「休みにしてもらっちゃいました」と、夏帆さんへピースサインをして見せた。
夏帆さんは、口を大きく開けて笑って「おぉ、良かったな。じゃあ、一緒に飲めるんだ?」と、空いたジョッキを突き出した。
「夏帆さんと外で飲むの久々ですね…」
「そうだなー…明日休みだから、たくさん飲も。拓士くーん、生ふたっつ」
夏帆さんは早速、拓士を呼びつける。
「めんこい顔の子だね」と、夏帆さんは私に耳打ちした。
「確かに、可愛い顔はしてるかな…」と返して、私はふと中学の頃の拓士を思い出した。
成長を見越して買い与えられた、ダボッとしたジャージ姿の中一の拓士。
人懐っこいあどけない少年拓士は、それはもう本当に可愛くて、バレー部みんなの弟みたいだった。
「昔は可愛かったんだけどなぁ…」
私はカウンターに頬杖をついて、ビールを運んできた拓士を横目に小さく呟いた。
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