筋肉痛とヨッパライ

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 先生が寝室に布団を敷いてくれて、夏帆さんをそこに寝かせた。  そして、二人寝室を出た。  「紗雪さんベッド使って?俺ソファーで寝るからさ…」  「…すみません、明日仕事なのに」  「大事な先輩だもんね。気さくないい人だね…」  「はい…でも、彼氏さんとのこと知らなくて…いつも私の話ばかりで…私が頼りないからかなぁ…」  先生は、私の頭にポンと手を置いて  「そんなことないよ。自分のこと話したくないって人だっているし、何も言わずに寄り添うだけで救われることってあるよ。話したくなったら話してくれるって…」  と言って微笑んだ。  「紗雪さんももう眠い?」  先生にそう尋ねられ、私は首を横に振る。  「じゃあちょっと話そうか…」と、先生は私の手を引いてリビングのソファーに座らせた。  そして、自分も私の隣に座って話し始めた。  「これからちょっと仕事が忙しくなりそうなんだ…中間試験もあるし…」 先生は、ちょっと沈んだ顔をしている。  「Tesoroにも行けなかったり、ゆっくり会えなかったりするかもしれない…」  そうなんだ…  私は、Tesoroのシフト減らしてもらえそうだけど、先生が忙しくなるんだ…  そうだよね、先生を必要とする生徒がいて、先生の言葉に救われる生徒がいるんだ…  恋愛にばかりうつつぬかしてていいわけがないもんね…  頭ではわかっているけど、あまり会えなくなるのかと思うと今からもう寂しくなる。  「お仕事ですから、仕方ないです……LINEはしてもいいですか?」  「もちろん。俺もするし、出来るだけ時間作れるように頑張るから…」  「じゃあ、会える日を楽しみに私も頑張ります。」  こんな風に話してくれること、先生が私を大事にしようと真剣に向き合ってくれていることが嬉しい。  「それで…これ…この部屋の合鍵なんだけど…」  差し出された先生の手のひらに、ちょこんと鍵が乗っていた。  「明日帰るとき使って、そのまま持ってて欲しいんだ……」  私は予想外のことに驚いて「え?」と、鍵と先生の顔を交互に見る。  「ゴメン…忙しくなる、会えないかもっていう話からの合鍵って重いかな……無理に使わなくていいんだけど…ほら、Tesoroからも近いから気軽に寄ってくれればと思って…」  私は嬉しくて、先生の手を鍵ごと両手で握った。  「来ます!来てもいいんですか?あ…邪魔にならない程度にします…」  こんなのもらったら、毎日でも来たくなっちゃう…  「もちろん、来て欲しいから渡すんだよ…紗雪さんの私物持ち込んでいいし…」  それから先生は「いつでも泊まれるようにして来てね?」と付け加えていたずらに笑った。  「ふへへ…」  嬉しいのに恥ずかしくて、私は返事に困って締まりなく笑う。  そんな私を見て、先生がククっと笑った。
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