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真夜中のカミングアウト
あ゛ーーー…
冷えた体に湯船のお湯が染みわたる。
体を洗って、さらに念入りに足を洗ってから湯船に浸かった。
冷静になって考えたら、夜に靴も履いていないエプロン姿の女が中学生と二人で話し込んでいる姿、かなり異様だ…
先生が帰ってきてくれなかったら、今頃まだあそこで二人待ちぼうけだったかな…
教師の仕事ってただ勉強教えるだけじゃないから大変だなぁ…と、しみじみそんなことを考えた。
それから「裸足で飛び出すなんて…怪我でもしたらどうするの」と足の心配をされて、マンションに入る時、先生が当たり前のように私を軽々と抱きあげたことを思い出した。
靴を履いていないからだとわかってはいても、さすがにリョウタも驚いていた。
先生は飄々としていたが、私は今思い返しても恥ずかしくて、顔に火がつきそうだ。私は両手で顔を押さえて、口元まで体を湯に沈めた。
少々のぼせ気味で風呂から上がり、自分のパジャマに袖を通した。
薄いラベンダー色のゆるっとしたドレープのラッフルスリーブのパジャマで、お泊り用にと新調したものだ。
自宅でもいつもはスウェットにTシャツだから、なんだかちょっと気恥ずかしい。
「先にありがとうございます…」
リビングのソファーに座っていた先生が私に気付くと、嬉しそうに目を細めて優しく笑った。
「俺のダボダボのスウェットもヤバかったけど、またそれは特別感あってヤバイ…」
「ヤバイ…ですか?」
「…可愛い」
先生は私に近寄ると、私の手からタオルを奪って頭をワシャワシャと優しく拭いた。
そして「ドライヤーしてて?俺も風呂入ってくる…」と言って浴室へと消えた。
浴室から聞こえる桶の音やシャワーの音がなんだか生々しくて、妙に興奮してしまう。
そっか、前は先生は先に済ませてて、先生がお風呂入ってるときに居合わせるの初めてなんだ…
けっこう音、聞こえるんだな…
私がお風呂に入っている間、先生もこんな気持ちだったのかな…?
そんな風に考えると、なんだかとても恥ずかしくなる。
私が髪を乾かし終わって、ソファーに座ってソワソワしていると、スウェットにTシャツ姿の先生が髪を拭きながら出てきた。
濡れた髪を拭いてる仕草が妙に色っぽくて、こっそり興奮する。
「ごめん…飲み物とか何も出してなかったね…ってうか、勝手に出して飲んでいいからね?」
「ハイ…」
先生がドライヤーをソファー横のプラグにセットして、前に私がしてもらったようにソファーに座っている私の前に腰を下ろして「今日は俺のやって」と笑った。
先生が私より低い位置に来て、いつもは見えないつむじが見えて、なんだか嬉しくなる。
そして、私はドライヤーを当てながら、先生の頭を指先でサラサラと撫でるように乾かした。
「やってもらうの初めて…」と、先生は私の膝に頭を乗せて、私の頬に手を伸ばして撫でた。
あぁ、もう…愛しすぎる…
私はその手を握って、体を屈めて先生の唇を奪った。
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