真夜中のカミングアウト

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*  「リョウタのことと、テスト準備で目まぐるしかったから…ろくに連絡も出来ずゴメンね。しかも、呼びつけておいて帰れないって最悪だったよね…」  先生は布団をかぶり、ベッドのヘッドボードにクッションを置いてそこにもたれて座ったので、私も体をズリズリとその隣に持っていって、先生と並んで座った。  「事情が分かったので、大丈夫です」  私はそう言うと、夏帆さんに言われたことを思い出した。  ――――『洗いざらい感情ぶちまけてきな。不安も不満も…紗雪は我慢しすぎ…』  そうだ…ちゃんと本音でぶつからないと…  私は「…でも」と付け加えた。  「でも、もう少し事情を話してほしかったです。」  「うん、ゴメン…」  「生徒さんのことだから、言えないこともあると思うけど…やっぱり不安だった…」  言い出したら、だんだんと堪えていた感情が溢れ出して、私は堰を切ったように止まらなくなった。  「…私のこと呼び出しておいて、その日に皐月先生と二人でいるのも嫌だった…皐月先生が結城さんに触るのも、それをそのまま気にも留めない結城さんも…拓士に連れていかれる私を引き留めてくれなかったのも…」  駄々をこねる子供みたいに不満が口をついて出て、もう止められなかった。  先生はそんな私を優しく見つめて、ただ「うん…うん…」と、相槌をうって私の肩に腕を回して抱き寄せて、肩をさすった。  「それに…それと…」  私は、先生に私が元生徒だとバレて、先生の気持ちが離れて行っちゃうんじゃないか、騙して裏切ったと幻滅されるんじゃないかと不安だったとことを言おうとして、躊躇ってしまった。  「…それに?」  先生がゆっくりそう聞いて、私の顔を覗き込む。  私はバツが悪くなり、俯いた。  …  言わなきゃ…  「あの…」  私が口を開いたのと同時に、先生が「…」と言った。  「え?―――知って…」  私は息をのんだ。  もしかしてバレたかもと思ってはいたけど、夕方に会った時にそんな素振りが全くなかったから、バレてないんだなと思っていたのに…  知ってたの?…――いつから?  「……気づいて欲しくなかった?」と、先生は私に尋ねて、少し寂し気に笑った。  「…――はい」私は素直にそう答えた。  先生は何も言わず、私の続きの言葉を待っている。  私の心臓がバクバクと大きく脈を打つ。  胸が痛いのは、そのせいか、嘘をつき続けていたせいか…  私は慎重に言葉を選ぶ。そして、うつむいたまま話し始めた。
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