紗雪のユウウツ

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 「どうした?お腹痛いの?」  「大丈夫です…あの…アレなので…」  私は苦痛に顔を歪めながら、モジモジと答える。  先生は、一瞬「あぁ…」と小さく声を漏らしてから直ぐに「いや、大丈夫じゃないでしょ…なんかちょっと調子悪いのかなって思ってたんだ…横になりな…」と、私の上体を自分の膝の上に屈ませて、有無を言わさずに膝枕するような形でソファーに寝かせた。  月に一度の女の子の日。  いつもはそんなにひどくはないのだが、二〜三ヶ月に一度、重たい腹痛や頭痛を伴うことがある。そろそろとは思っていたが、よりによって今朝なるなんて最悪でしかない….  「痛み止めあるけどいる?ベッドで寝た方がいい?何か欲しいものある?」と、先生は心配そうに私の頭を撫でる。  「痛み止めは朝飲んだので、まだ飲めなくて…」  「朝から調子悪かったのに来てくれたの?」  私はへへっと、力なく笑った。  先生は少し呆れ顔で「言ってくれれば迎えに行ったし、無理させなかったのに…」と小さくため息をついた。  お腹の重だるさと鈍い痛みが続いて、私はベッドで休ませてもらうことにした。  モヤモヤしたお腹を抱えて、小さくなって横になる。  先生は、私の横に座ってパソコン仕事をしながら傍にいてくれて、時折私の頭を撫でてくれた。私はいつの間にか微睡んで眠りについた。    どのくらい眠っていたのだろう…目が覚めると、辛かった痛みが嘘のように和らいでいた。  暖かくて心地よい眠りの余韻をふにゃふにゃと堪能していると、背後からスースーと気持ちよさそうな寝息が聞こえた。気づけば、先生が背後から私を包み込むように抱いて眠っている。  先生の大きな手が私の腹部に当てられていて、心配してくれていたことを感じた。  私は静かに体の向きを変えて、先生の胸に顔をうずめて、先生の呼吸のリズムと温もりに癒しをもらう。    「ん…紗雪…大丈夫?」  先生が目覚めて、目を細めたまま眠そうに私にそう尋ねる。  「だいぶん良くなりました」  そう答えた私に「良かった…」先生は小さく笑った。  私は体を起こして先生を見つめた。  やっぱり、思ったことをちゃんと伝えたくて「柊真さん…」と口を開く。 「私…ちゃんと異性と距離とるようにしています…柊真さん"やきもち焼き"だって言ったし…私なりに気をつけてますよ…」  体の辛さが少し楽になって、感情的にならずに落ち着いて伝えることができた。  先生は私が話し始めると、体を起こして聞いて、真剣な表情で「うん、ゴメン、紗雪が悪いんじゃないのに…無神経なこと言ったね…」と言ってくれた。  「私も、さっきはちょっと感情的になって…ごめんなさい」  そう言って、私がしょんぼり謝ると、「ううん…大丈夫。これからもさ、一人で抱え込まないでちゃんと本音で話し合っていこ?」と、先生は優しく返してくれる。    「そうですね…」  私が返事をした直後、先生は私の唇にチュッと可愛いキスをして「はい、じゃあ、これで仲直りね」と整った歯を見せて笑った。  私は「ですね!」と笑って、先生の胸に抱きついた。  
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