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「じゃあ、また明日!」
「またね」
ランドセルをカタカタ鳴らしながら、子どもたちはそれぞれの家の方向へと走りだした。
マナミは家に帰ると、手を洗って、冷蔵庫に用意されているおやつを食べる。
今日はマナミの好きなぶどうゼリーだ。
リビングのテーブルにヤクルトと一緒に運び、テレビをつけた。
両親はフランチャイズのコンビニを2店舗経営しているから、昼も夜もなく忙しい。
バイトの人に店を任せ、お母さんが帰ってくる夕方までマナミはいつも一人で留守番だ。
テレビではワイドショーが流れている。
どこかの動物園で生まれたキリンの名前を公募中です。
小学生がけん玉世界一になりました。
南極の氷がどんどん融けて、海獣たちの住む所がなくなっています。
奥の細道に番外編があった!? と大学が発表しました。
南の国では干ばつが続き、北の国では洪水が始まりました。
虫歯にならないためには噛み応えのあるにんじんスティックをおやつにしましょう。
1分単位でバラバラなニュースがながれ、興味を持つ前に画面が切り替わる。
マナミはすぐに飽きて、チャンネルを変えた。
ゼリーのプラ容器を片付け、宿題を取り出そうとランドセルを開いた時、電話が鳴った。
ディスプレイには見慣れた早苗の家の番号が表示されている。
「マナミ! 私にも届いた」
「え?」
「善意のたまご、ロビンの巣に入ってた」
「ロビンのたまごじゃないの?」
「ロビンはハムスターだよ」
そう、ロビンは大きなお尻をしたゴールデンハムスターだ。
ハムスターは卵なんか産まない。
「見においでよ」
と早苗が言った。
自慢されるのは癪だけど、実物の「善意のたまご」を見る絶好のチャンスだ。
「行く」
気が付くとマナミはそう返事をしていた。
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