第六章

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「ねぇファハド『ばあや様』の事だけれど」 「ナジマ、きっと天で見守ってくれているよ」 彼等が村に戻ると、下界は上や下への大騒ぎになっておりました 「忽然といなくなり滑落したのでは?と大層心配したのです」 血相を変え転げる様に膝下に飛び出した村長は、夜をついて方々探したと ポロポロ大粒の涙を流し訴えるのです 不審に思い昨夜の出来事~ 坂を登った突き当たり、石造りの居心地の良い小さな家での招待を細々と伝えました 「はて??仰る意味がわかりませぬ、小屋などございませんよ?」 「この集落が国中最も高い標高にあるのですよ?」 「!!そんな馬鹿な」 ファハドは皆を連れ、つい先程従者の案内の元、安全に降りたばかりの坂登り口に案内しようと試みました が、どうしてなのか? いくら探しても煙の如く消え見つかりません ただ村内最長老のお年寄りが、自身の童の頃の『伝聞』として 「冬の炉端で聞いたことがあった」 ーーーー鮮明に突如思い出しました このお年寄りの言うことには〜 村長一族の御先祖様に『晴れがましい大役』 …… 星読みの占星術にて王家直々のしょうへいにて、王女乳母役に抜擢の石造りの住居に住む賢女がいた事 立派な毛皮の装束をまとった長身の寡黙な守り役が村を訪れた事 お祭り騒ぎの宴席を設け、翌朝村中で笛太鼓で見送った事 でも都への下山途中、山の地形が変わる程の巨大な地滑りが発生 巻き込まれたらしき二人は、未だ消息不明だという事 賢女は自分が誰かの役に立つ事を心より楽しみにしていた事 「いやーーじいじは百年以上大昔の事だと申しておりましたかな? わしもすっかり頭がもうろく、イヤハヤとんと忘れておった」 そんな事を飄々と語り終えました
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