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第三章
「いやよくお越し下されました」
到着した二人は、至宝の貴重な木材で内装を埋め尽くされた宮殿深部に案内されました。
出迎えの王国の主〜
藩王様のお妃様の兄君は、目尻を下げ、大いに稀人を悦びます。
「コレへ!」
パンパン威勢良く柏手を打ち、太っ腹にも直ぐさま美食のズラリ並ぶ宴席を設けることを家来に命じます。
新たに通されし特別な大広間には、立派なフカフカの絨毯が敷き詰められ、太い柱や梁には手の込んだ彫刻が優美にあしらわれています。
「素晴らしいな」
「ええ全く」
生まれて初めて目にするエキゾチックな彫刻に目が奪われます。
滑らかな身体の線が美しい天女の彫り物を見
「こうしては居られない……!」
愛する姫のことを思い出しグッと胸を一杯に閊えさせてしまうと、丁重に豪華な美酒美食の歓待を断りました。
目に見えてガッカリする国王に、自分達の使命を慇懃に腰低くお伝えすると彼はザザッと顔色を変えます。
「なんと!!
では我が愛する妹の、一粒種である宝玉が今苦しんでいると申すのか?」
「はい
姫のお命をお救いするには、我々は偉大なる国王様のお知恵に縋るしかございませぬ」
直ぐさま王の名の下、号令一下
数多の知恵者の大臣と宮殿女官頭と侍従頭が呼び寄せられ、御前会議
〜対策協議が開催されます。
「しかしそのばあや様は、残念ながらもう既にこちらにも安否が伝わらぬ御方です」
「忠実なる従者と共に険しい環境の生誕地で、慎ましく隠居を決め込んでるのであろう?」
生存が解らぬ以上、兎に角行ってみるより術が無いとガヤガヤ全員一致で決まりました。
しかし問題はその場所にありました。
険しい断崖絶壁に沿った〜
強いヒズメを持つカモシカしか渡りが出来ないという大層厳しい山岳ルートを征く必要があったのです。
国で最も高い場所に刻まれた、天空の狭間を開く縦走路です。
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