第四章

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ファハドと侍従は一緒に丁寧に腰を折り挨拶を致します。 自らの、この地に訪れた目的を彼女に明かしました。 「お初にお目に掛かります お姫様の為、お力添えをお願いをしに参りました ~我々が来ることをご存じで?」 「ええ だから案内役を差し向けましたのよ」 「?村長殿より御使者が?」 「そうですねぇ、マァそういう事にしておきましょうか」 ????? 『ウーーーン』 …… ~なにかが少し 微妙~~~に理屈として噛み合っていない気が致しましたが、グツグツと~ 目の前の暖炉に掛けられた大鍋からあふれ出す、美味しそうな誘惑 余りにかぐわしい良い香り 零れ落ちるように漂い出すせい 「まいっか」…… 不審は頭の隅に無理矢理追いやりました 身分の高い子息といえど、未だ未だ食べ盛りの若者です 疲労と空腹の頂点で、ぐぅうううとお腹と背中がくっつきそう!! 今にもバッタリ床に倒れて死にそうでした 「戸口にその様に立ちっぱなしもなんですので こちらに座り、温かな食事でもお召しになっては如何でしょうか? 鍋で丁度、若いカモシカ肉のカレーが良いあんばいに煮上がっておりますから ぁあそれから籠の中の可愛らしい子にも、塩無のピーナツがございましてよ?」 「かたじけない ~では恥ずかしながらご相伴に与ります」 「ふふふ、随分礼儀正しい御方ですこと わたくしは貴方様のこと、大いに気に入りました」 大きな鉢になみなみと暖炉より取り分けられた、タップリのカモシカ肉のカレーは肉がトロトロに柔らかくホクホクで~ 堪らなく美味! しっとり大判に焼き上げられたホカホカのナンを浸す間もなく、木の匙でペロリと食べ尽くしました 「おかわりは如何です?」 「宜しいのですか?!」 「ええ」 「では!!」 主従は噂に聞きおよぶ魔法のスパイスカレーの威力をしみじみ味わい、心の底からジーンと幸福に満たされました 若君は故郷の辛い病の床に伏す大切な人に 是が非でも同じ味を食べさせたいと心底願ったのです 美味しい食事後は、いよいよ本命の依頼をお願い致しました 女性はふむふむと頷き 後片付けを側付きに任せると~ 彼等が遠い国より買い求め、遙々持参した貴重な香辛料類をテーブルの上に全部残らず並べました
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