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ファハドと侍従は一緒に丁寧に腰を折り挨拶を致します。
自らの、この地に訪れた目的を彼女に明かしました。
「お初にお目に掛かります
お姫様の為、お力添えをお願いをしに参りました
~我々が来ることをご存じで?」
「ええ
だから案内役を差し向けましたのよ」
「?村長殿より御使者が?」
「そうですねぇ、マァそういう事にしておきましょうか」
?????
『ウーーーン』
……
~なにかが少し
微妙~~~に理屈として噛み合っていない気が致しましたが、グツグツと~
目の前の暖炉に掛けられた大鍋からあふれ出す、美味しそうな誘惑
余りにかぐわしい良い香り
零れ落ちるように漂い出すせい
「まいっか」……
不審は頭の隅に無理矢理追いやりました
身分の高い子息といえど、未だ未だ食べ盛りの若者です
疲労と空腹の頂点で、ぐぅうううとお腹と背中がくっつきそう!!
今にもバッタリ床に倒れて死にそうでした
「戸口にその様に立ちっぱなしもなんですので
こちらに座り、温かな食事でもお召しになっては如何でしょうか?
鍋で丁度、若いカモシカ肉のカレーが良いあんばいに煮上がっておりますから
ぁあそれから籠の中の可愛らしい子にも、塩無のピーナツがございましてよ?」
「かたじけない
~では恥ずかしながらご相伴に与ります」
「ふふふ、随分礼儀正しい御方ですこと
わたくしは貴方様のこと、大いに気に入りました」
大きな鉢になみなみと暖炉より取り分けられた、タップリのカモシカ肉のカレーは肉がトロトロに柔らかくホクホクで~
堪らなく美味!
しっとり大判に焼き上げられたホカホカのナンを浸す間もなく、木の匙でペロリと食べ尽くしました
「おかわりは如何です?」
「宜しいのですか?!」
「ええ」
「では!!」
主従は噂に聞きおよぶ魔法のスパイスカレーの威力をしみじみ味わい、心の底からジーンと幸福に満たされました
若君は故郷の辛い病の床に伏す大切な人に
是が非でも同じ味を食べさせたいと心底願ったのです
美味しい食事後は、いよいよ本命の依頼をお願い致しました
女性はふむふむと頷き
後片付けを側付きに任せると~
彼等が遠い国より買い求め、遙々持参した貴重な香辛料類をテーブルの上に全部残らず並べました
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